結晶室による在来の氷砂糖は相当以前から製造されてきているが、その製法は現在に至ってもさほど改良されていません。概略は次のようになります。
原料の砂糖は高純度のものが要求されます。この原料を溶解し、清浄行程をへて、結晶室(以下「ムロ」という)で晶出するのに適当な濃度まで濃縮します。この濃厚糖液を結晶皿(20x20x5cm)に数粒の種糖と共に入れ50℃前後に加温したムロの中に放置しておくと約2週間で大きな結晶を得ます。
結晶室での晶出が完了したら結晶を結晶皿より取り出し、分蜜、乾燥後、篩にかけ、ある程度結晶の大きさを揃え製品とします。工程中に破壊された聚晶等は種糖とかまた他の用途に応じおのおの適用されます。特に氷砂糖は梅酒にもっとも有効です。
能力および収率の点についてみると、氷砂糖製造能力はほぼ結晶室の数で決定されます。すなわち結晶室の数と1室当りの結晶皿収容数、結晶皿1枚当りの固形物重量より決まります。
また結晶皿の残蜜は氷糖蜜として独特の風味があり広く市販されています。独特の風味は、ある種の酵母の作用と考えられていますが、まだそのナゾは解明されていません。氷糖蜜の持つ風味は、非常に美味で、かき氷等の甘味料としては最適です。
異性化液糖とは、ブドウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)を主な成分とする液状の糖のことで、原料はトウモロコシやジャガイモ、あるいはサツマイモなどのデンプンです。甜菜(ビート)を原料とする「砂糖」と比べ、甘味が口の中で残りにくいので、あっさりした甘さです。
特徴としては粘性(ねばりの度合い)が少ないため、取り扱いやすく、大量に運送したり保存したりすることが容易という事が上げられます。
しかし液状のため、固形化や粉末化するのが難しいという面があるため、一般消費者向けにはほとんど販売されていません。
ブドウ糖果糖液糖(果糖含有率が50%未満のもの)
果糖ブドウ糖液糖(果糖含有率が50%以上から90%未満のもの)
高果糖液糖(果糖含有率が90%以上のもの)
砂糖混合異性化液糖(上記に10%以上の砂糖を加えたもの)
デンプンから生成するには、3回の酵素反応と精製、濃縮が必要です。
3回の酵素反応で、(1)液化→(2)糖化→(3)異性化が行われ、そこから精製・濃縮をして生成されます。
異性化液糖は、価格も安いので、缶詰、パン、みりん風調味料などにも使われています。
また、砂糖より甘みが口中に残りにくく、低温下で甘味度を増すので、清涼飲料や冷菓(ゼリー・プリン・水羊羹)などに多く使われています。
日本では、国内で余剰気味のサツマイモ等などを原料として、砂糖類を作る技術が求められ、その解決策として、1960年代後半から70年代にかけて、異性化液糖の製造技術が確立されたました。当初、普及は急速に進まなかったが、清涼飲料水の分野で普及が進み、現在では、砂糖類の需要の4分の1程度を占めています。
今では、日本においても、デンプン源として主に使われるのはトウモロコシとなっているが、国内農業振興のため、一定量の国内産デンプンの引き取り義務が課されています。